患者主導の医薬品開発のためのパレクセルのソリューション
患者主導の医薬品開発には、患者支援者との30分以上の面談や、ウェブサイト上での意欲をかき立てられるような文章以上のものが必要です。 それは開発の初期段階から始まり、その後のほぼすべての意思決定に影響を与える体系的なアプローチです。 弊社の患者支援部門は、スポンサーが患者さんのインサイトを活用し、複雑化する償還環境に対応し、リスクを軽減し、患者さんに適切な利益をもたらす商業的に実現可能なプロダクトを開発できるよう支援します。
By Jep Poirrier, Ph.D., Executive Director, Health Economics and Outcomes Research
Sangeeta Budhia, Vice President, Pricing & Market Access
5 min
償還のない規制当局の承認は、未実現の収益をもたらし、患者さんが適切な治療を受けられない状況へとつながります。パレクセルの市場アクセス戦略専門家であるSangeeta BudhiaとJep Poirrierは、価値と差別化に基づいて償還と魅力的な価格設定を獲得する方法について、数百の企業にアドバイスを提供してきました。二人は規制当局と保険者がますます優位を占めるこのグローバル市場で、治験依頼者がうまくやっていけるように支援しています。規制当局と保険者は、新製品によって医療のアンメットニーズを満たし、患者さんと医療システムに費用対効果の高いメリットをもたらすことを求めています。SangeetaとJepが、急速に変化する環境で成功するための初期の実践的な戦略について説明します。
Poirrier:最近の動向は、パレクセルが過去10年から15年にわたって提唱してきたことを裏付けるものとなっています。それは規制当局と保険者の要件を満たすためのエビデンス生成計画を早期に策定することです。欧州委員会が2021年に可決した規制に基づき、欧州医療技術評価ネットワーク (EUnetHTA) は2025年までに新製品の共同臨床評価を開始する予定です¹。 一方、米国ではインフレ削減法により、メディケアが史上初めてバイオ医薬品企業と直接価格交渉を行うことが認められました²。 別々の大陸で制定されたこれらの法律は、医薬品開発者にとってのエビデンスの基準を変えつつあります。新しいHTA機関規制は、十分なデータを提示し、規則を遵守する治験依頼者による市場アクセスを保証するためにデザインされました。その目標は患者さんがこれらの治療を受けられるようにすることです。米国にはHTA機関はありませんが、メディケアが新たな権限を得たことで、公正な価格設定がさらに重視されるようになります。これに臨床経済評価研究所 (ICER) の影響力の増大が合わさって、米国市場のダイナミクスは変化しました。2023年9月にICERは、「社会的視点」を取り入れ、患者さんと介護者から生産性データを収集するために価値評価のフレームワーク (Value Assessment Framework) を改訂しました³。 弊社ではクライアントに対し、新たな課題に合わせてエビデンス計画を俊敏に調整するようアドバイスしています。なぜなら、償還は患者さんにとって最も重要な結果だからです。治験依頼者が医薬品に5億ドルを費やしても、それが償還対象外であれば患者さんは恩恵を受けられません。
弊社ではクライアントに対し、新たな課題に合わせてエビデンス計画を俊敏に調整するようアドバイスしています。なぜなら、償還は患者さんにとって最も重要な結果だからです。治験依頼者が医薬品に5億ドルを費やしても、それが償還対象外であれば患者さんは恩恵を受けられません。
Budhia:この変化の激しい環境において、価値の証明、特に既存の製品との比較価値を示すことは、これまで以上に重要になっています。そのための方法の1つは、アンメットニーズの重要性を実証することです。弊社では患者さんや介護者と関わり合うことで、疾患や潜在的な治療法が生活の質に与える影響を理解する治験依頼者が増えるよう支援しています。従来、臨床試験における生活の質 (QOL) 指標では、ベネフィットの把握を目指していますが、ツールの詳細さによっては綿密な調査が必要な場合でも大雑把な調査しか行えないことがあります。アンメットニーズは定量化だけでなく、細分化も必要です。弊社では治験依頼者に対し、患者さんと介護者への調査を活用して、QOL、疾患負担、リソースニーズの微妙な意味合いを理解するようアドバイスしています。ICERによる最近の方法論の刷新に伴い、より伝統的なHTA機関も患者さんと介護者の定量化されたインサイトを歓迎しています。たとえば、神経系の変性や機能障がいを引き起こす希少疾患であるアミロイドーシスでは、患者さんへの調査の結果、ステージ1または2の患者さんでは介護者が1人必要であるのに対し、ステージ3の患者さんでは介護者が2人必要であることが明らかになりました。これは経済的にも人的にも大きな影響です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD) は、筋変性と筋力低下を引き起こす遺伝性疾患です。臨床試験ではこれまで、下肢の可動性に重点を置いており、6分間歩行テストを使用してきました。しかし、患者さんは上肢機能への影響も重要だと述べています。このインサイトから治療が上肢に及ぼす影響の定量化が必要になりました。
Poirrier:弊社は製品の添付文書に記載するのに適した患者報告アウトカム (PRO) データを収集したいと考えている治験依頼者と頻繁に協力しています。PROツールは多数存在しますが、そのすべてが規制当局、HTA機関、保険者によって検証・承認されているわけではありません。PROデータは偏りがなく、堅牢な方法で収集する必要があります。これは簡単なことではありません。たとえば最近、弊社では自社製品が疲労を軽減するというラベル表記を求める治験依頼者に協力しました。疲労は患者さんの生産性や、日常生活への関与に悪影響を及ぼす可能性があります。賃金や生産性の損失は、地域社会や雇用主、さらには社会にも大きな負担となります。疲労は定量化可能な評価項目であり、費用対効果を証明できれば割高な価格設定を正当化できる可能性があります。しかし、多くの標準的なQOL尺度は、疾患によって大きく異なる疲労を測定できません。開発後期に新たな疲労評価項目を導入しようとする治験依頼者は、しばしば困難に直面します。HTA機関は保険適用の決定において、PROデータと患者さんへの調査を定期的に精査しています。新しいEU共同臨床評価プログラムでは、これらの分析が標準化される予定です。多くの治験依頼者は、健康の公平性という観点からも価値を実証することを目指しています。パンデミックで医療の利用、医療費、併存疾患における格差が浮き彫りになりました。弊社ではこうした議論とデータを特定のHTA機関と検証しています。
Budhia:弊社では治験依頼者に対して患者さんだけでなく医療システムにとって重要なデータも生成するようアドバイスしています。開発中、ほとんどの治験依頼者は主要評価項目を満たす臨床試験をデザインして実施することに重点を置き、その後で規制当局の承認取得に力を入れます。これらのハードルをクリアした後、次に「保険者はどのように評価するだろうか?」と考えますが、その過程で対象疾患の患者さんと介護者が医療システムとどのように関わっているかを評価する必要があります。エビデンスが費用対効果を重視する保険者の目的に合っているかどうかを判断するには、この方法しかありません。たとえば、治験依頼者がクローン病 (CD) における結腸瘻造設の予防など、臓器を温存するための製品を開発しているとします。たとえ薬剤の費用が手術費用よりも高額であっても、結腸を温存できることで患者さんに計り知れないメリットがあるため、HTA機関は追加費用を受け入れる可能性が高いでしょう。同様に腎移植 (生涯にわたる治療を必要とする) を予防する腎温存薬も、費用対効果の問題をクリアするでしょう。
治験依頼者は対象疾患の患者さんと介護者が、医療システムとどのように関わっているかを評価する必要があります。エビデンスが費用対効果を重視する保険者の目的に合っているかどうかを判断するには、この方法しかありません。
Contributing Experts
患者主導の医薬品開発には、患者支援者との30分以上の面談や、ウェブサイト上での意欲をかき立てられるような文章以上のものが必要です。 それは開発の初期段階から始まり、その後のほぼすべての意思決定に影響を与える体系的なアプローチです。 弊社の患者支援部門は、スポンサーが患者さんのインサイトを活用し、複雑化する償還環境に対応し、リスクを軽減し、患者さんに適切な利益をもたらす商業的に実現可能なプロダクトを開発できるよう支援します。